2019.6.19

 

六ヶ所村商工会主催の「21六ヶ所村を考える会講演会」で会社法のセミナーを行いました

 

6月19日(水)に「企業経営における危機管理と自主防衛〜役員の経営責任と株主の責任〜」というテーマで、六ヶ所村商工会主催の「21六ヶ所村を考える会講演会」で会社法のセミナーを行いました。

21六ヶ所村を考える会通常総会に引き続いての開催でしたので多数のご参加をいただきました。

 

株式会社の基本構造をご説明した後、多くの中小企業においては実際には「会社の利益=株主の利益=社長(役員)の利益」であるところ、会社債権者は社長(役員)に対する損害賠償責任(役員の第三者に対する責任すなわち会社法429条に基づく責任)を追及することによって債権の回収を図るということをお話ししました。

その結果、社長(役員)=株主は会社が負った債務を弁済することとなり、株主有限責任の利益を享受できなくなることをご紹介しました。

さらに、従来、裁判において、会社法429条に基づく損害賠償責任を認めてもらうことは必ずしも容易ではなかったこともご説明したうえで、近時、役員の責任を肯定することによって会社のガバナンスを適正化していこうという判決が相次いでいることもご紹介しました。

他方、現行会社法が平成18年に施行されて以来、役員構成をスリム化できるにもかかわらず、取締役が3人以上いて監査役もいるという会社が多いこともご紹介し、無駄に役員を置いていないかのご検証をお薦めしました。

節税対策のために家族を取締役や監査役にしている場合は、会社法上の役員ではない執行役員という役職を設けることによって会社債権者からの責任追及を回避できる可能性が高くなることもご紹介しました。なお、その前提として、「執行役員」と会社法上の「執行役」との違いもご説明しました。

最後に、最近私が取り扱いました事例、すなわち、事業協力金という名目で支払った領収証のないお金を役員の第三者責任を追及することによって取り戻した事例をご紹介しました。

 

以上のように、立法や判例などの動向だけでなく、私が取り扱いました事例も併せてご紹介した結果、いささか難解である講演内容にもかかわらず、ご参加の皆様方はとても熱心で、ご質問も積極的にくださいました。

 

セミナー終了後は盛大に懇親会が催されました。

懇親会には、セミナーにご参加の方々だけでなく、六ヶ所村の村長さんや日本原燃株式会社の社長さんもお見えになり、六ヶ所村の皆様方と身近にお話しできる機会に恵まれました。

 

改めまして、ご参加いただきました皆様に深く感謝いたします。

今後も有益な情報をご提供するべく、このようなセミナーを開催していきたいと思っております。

ご意見ご要望ご質問などございましたら、お気軽にお寄せくださいますようお願い申し上げます。